シンテグレートのリモートワーク#2 データ共有、タスク管理など

前回の記事のつづきです。

データの共有: Dropbox Business

仕事のデータ共有にはDropbox Businessのスタンダードプランを使っています。常に会社の全員で同期したファイルを閲覧できるのはとても便利ですし、社内でのデータ送付のもDropbox上のリンクを送るだけで済みます。また、使っていないファイル/フォルダをダウンロードせずにフォルダの場所だけを共有できる、スマートシンク機能も使い勝手がいいと感じています。

Dropboxの操作画面 赤下線(左側のアイコンが緑)のフォルダの内容のみダウンロードされている

また、社外にデータを送るときもDropbox Transferをそのまま使えるのが便利です。すでにクラウド上にデータが上がっているため、データが重くてもパソコンからアップロードする時間がかからないためです。

最近はDropbox Paperも、社内での文書や議事録の作成で使うようになりました。これはウェブブラウザ上の文書作成ツールで、文書を複数人でリアルタイムに編集できるのがメリットです。共同編集はGoogle docsでもできますが、Dropbox Paperの場合は会社のDropboxストレージにそのままデータを保存できるのがメリットです。

社内の管理情報やノウハウの共有:scrapbox

会社のscrapboxのスクリーンショット

会社の就業規則や有給申請の仕方、最近だとコロナワクチン接種の休暇申請など、会社で管理上共有しておくべき情報はいろいろあります。また、リモートワーク下で入社した人は自分のプロジェクトに関わる以外の人と接点があまりなく、不明点を誰に聞けばいいかわからない場合も多いでしょう。

それらの管理上の情報や社員の情報を共有するためにScrapboxを使っています。これらの情報をDropboxに上げておくことはもちろん可能ですが、ファイル・フォルダのデータ構造が階層状になっていて見づらく、検索性が悪いという問題があると思います。Scrapboxは階層構造がなく、リンクのみで各情報がつながっており、情報の見やすさや検索性の点で優っていると感じます。

また、階層を気にすることなく、必要と思ったことは各社員が書き込めるのもメリットです。これを生かして、業務上のノウハウやソフト利用のTipsなどもここに書いていけるといいと思っています(現在はまだ数少ないですが…)。

勤怠・経費精算など

勤怠管理と経費精算にはfreeeを活用し、オンライン上で完結できるようにしています。加えて、社内で日ごと、業務ごと、作業種別ごとに作業時間を把握するための簡単なシステムを作り、運用を始めています。これによってリモートワークでも個々の作業時間を把握し、次回業務の計画や人員配置に生かすことができればいいと考えています。以下のタスク管理ツールの運用方法と合わせて、継続的にやり方を調整していく予定です。

タスク管理: Trello/Clickup

複数名で仕事をしている時に便利なのがタスク管理ツールです。特にリモートになると、メモやホワイトボードを部屋で共有できないので、各スタッフやプロジェクト全体の進捗状況の把握や管理には必要な場合が多いと感じられます。現在会社全体ではTrelloをタスク管理のツールとして使っています。ただ、スタッフごと、プロジェクトごとに使われ方が全く異なる印象です。

私の場合は、以下3つの業務を行っています。

  1. 設計段階の建築ファサード検討(私1名)
  2. 施工段階でのファサード検討(私含め2名)
  3. このブログ編集(主担当は私のみ)

1.の設計段階のプロジェクトでは、私一人しかスタッフがおらず、クライアントとのやり取りで業務内容が完結するため、 Trelloは使っていません(自分のメモだけでやっています)。コロナに罹った時の急な引継ぎなどを考えると書いておいた方がいいのだろうとは思いますが、面倒なのでさぼっています。。

2.の施工段階でのプロジェクトでは最近になって使うようになりました。理由は僕が1.の業務にかかりきりのことが続き作業が滞りがちになったこと、それをもう一人のスタッフに伝えられていなかったことです。やはりTrelloに書いておくとチームとしてメモを共有でき、全体での抜けや漏れが減るなと感じます。

3.のブログ編集では頻繁にTrelloを使っています。他業務の合間に行うために諸々忘れがちになること、締切管理が容易になることが大きな理由です。

ブログ編集のTrelloボード いろんな記事を書いてもらっています

社内で一番大きいプロジェクトチームには現在10人ほどが所属しており、管理すべきタスクが多くスケジュールもタイトです。そのチームでは現在Clickupを使っています。カンバン方式やガントチャートなど、タスクの表示方法がいろいろと選べること、タスクごとの作業時間を確認・管理できることが大きな利点のようです。使い勝手がよければ、今後社内全体でClickupを使用するかもしれません。

導入後一年のみんなの感想

ここまでリモートワークのやり方について書いてきましたが、せっかくなので会社のみなさんに導入後一年の感想を聞いてみました。

5月にファサードチームに加わりました。入社時点からずっとリモート勤務のため、オフィスにも数えられる程度しか出社したことがなく、チーム外のほとんどの社員の方とは一度も直接お会いしたことのない状態です。

ZOOMやSlackによる随時連絡やClickUpを用いたタスク管理によりチーム内のコミュニケーションは密に取れていますが、国内外からシンテグレートに集まった様々な分野の精鋭たちとチームの枠を超えて情報交換や交流をすることが難しい点がもったいなく感じています。

Daichi Masuda (ファサードチームスタッフ)

タスク管理ツールを半強制的に使うことでマネジメントノウハウが成長しているのを感じます。また、文字情報でコミュニケーションする比率も増えたので記録が残りやすくなりました。

一方でオフラインであれば口頭で指示して隣のディスプレーを覗けば済んでいた仕事も作業内容を定義してZoomして…と管理コストが不必要に増大している面があります。

最大の懸念は人材の育成で、別のプロジェクトの会話が聞こえる/他人が操作している画面を見て新しいコマンドを覚える/通りがかった先輩がアドバイスをくれる…というようなチャンスの喪失は数年後に悪い影響を与えるのではないか懸念しています。

Takahiro Ishihara (ファサードチームマネジメント担当)

BIMチームには、リモートワークで2つの先進的な変化がありました。

まず、BIMのプロセスと基準が変わりました。これまでは主にオフィスでの作業スタイルに合わせたものになっていましたが、今回のパンデミックでは、BIM360というオンラインプラットフォームを通じて、クライアントとのリモートワークに慣れることができました。現在はどこでも仕事ができるよう、仕事のプロセスや基準を開発・改善しています。

2つ目は、すべての作業が予定通りに進んでいることです。オフィスで仕事をしていたときには、ほとんどのミーティングが突発的に行われていました。そのため、予定していたタスクに集中できないこともありました。リモートワークでは不必要なミーティングやディスカッションを減らし、労働時間を短縮することができました。

一方で、オフィスで仕事をしているときのようにはお互いの仕事を確認できないため、生産性の低下を招いている側面もあります。私たちは、より良い方法を見つけようと努力しています。

Jaeyeol Shim (BIMチームマネジメント担当)

様々な逡巡もありながら2020年の春からリモートワークに切り替えました。メリットは、移動時間がなくなってより多くの打合せをこなせるようになったことです(メリットかどうか怪しいですが)。人数が増えたために、本来ならより広いオフィスを借りる必要があるところ、現状のオフィスのままですんでいるのもいいことです。

デメリットは主にコミュニケーションに関することです。何気ない会話や、スタッフの様子を見ることで、チームごとの雰囲気を感じるのが難しくなりました。
また、これまでは社員全員がオフィスに集まって一体感を持って仕事をすることで、いろいろな問題を解決することができていました。ある意味で”昭和的”なやり方だったかもしれません。少人数ではそれで成り立っていましたが、スタッフの数が増えてきてその方法が成立しづらくなったと感じます。リモートワークの導入がそれに拍車をかけました。
会社としての一体感を作ることが大事なのは変わりませんし、それには前回紹介した「Gather」など、新しいツールも助けになると思います。しかし一体感や空気に頼りすぎない、よりよいマネジメントのやり方を、会社として考えるいい機会になっていると思います。

Kenji Watanabe (代表社員(日本)/ ディレクター)

おわりに

紹介してきたリモートワークのやり方は、これからもどんどん変わっていくと思います。それが可能なのは、新しいモノややり方が好きな雰囲気と、社員全員のICTリテラシーの高さだと思います。いままでにない状況やツールに直面してもアレルギーを起こさずに、とりあえずやってみる/いじってみる柔軟さを全員が持っているのはすごいと思いますし、自分もそうあり続けたいなと感じています。

個人的には日々の通勤時間が無くなり、一人で作業する際も容易に集中でき、昼休憩の時も布団でゆったり昼寝ができるため、非常に快適です。しかしオフィスデーで出勤したときには、意図せずに他の人の作業内容が見られることや、質問や相談・作業確認・雑談のハードルが非常に低いことに、新鮮さと楽しさを感じました。

今後コロナウイルスの流行がおさまっても、単純に以前のような出勤に戻るのではなく、両者のいいところを組み合わせた仕事の仕方を組み立てたいと考えています。

kantaro.makanae

当blog編集担当。入社3年目、前職は設計事務所。 シンテグレートの会社や仕事について、新人目線で書いていきます。銭湯と飼い犬をなでるのが好きです。

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