「いつの間にか1mmずれていた…」を防ぐためのRhino手動モデリングメソッド

人間が手でモデリングする以上、どうしてもミスは起こってしまいます。

Rhinoを用いた手動モデリングにおけるありがちなミスとして、「気付かないうちに誤ってオブジェクトを数ミリ動かしてしまっていた」「想定していた寸法から微小のずれがある」といった経験を誰しもが一度はしたことがあるのではないでしょうか。

それが大きなズレであればその場で気が付き修正することができますが、数ミリ程度の小さなズレであれば目視で気が付くことが難しく、プロジェクトが終盤に差し掛かったところで発見され大問題になるという事態も起こりかねません。

人間を信用していないシンテグレートのファサードチームではGrasshopperやスクリプトを用いて可能な限りモデリング作業を自動化するように努めていますが、それでも手動でモデリングせざるを得ない状況が多々発生します。

本稿では、上記のようなモデリングミスを防止するためにシンテグレートのファサードチーム内で共通化している手動モデリングメソッドをご紹介します。

マウスドラッグを無効化する

プロパティ確認などのためにオブジェクトをクリックして一時的に選択状態とする際、クリックしたままマウスを動かしてドラッグしてしまうことで不本意にオブジェクトを移動させてしまった経験は誰しもがあると思います。

不本意にオブジェクトをドラッグしてしまう様子

この不本意なドラッグの根本的な対策として、Rhinoの設定でマウスドラッグそのものを無効化してしまうという方法があります。

まずはOptions> Mouse> Click and dragで“Drag selected objects only”にチェックを入れます。これでオブジェクトを1回クリックしただけではドラッグすることができなくなりました。
しかし、このままでは2回目のクリックによりオブジェクトを移動させてしまう危険性が残っているので、それを防ぐためにその下のObject drag threshold”を変更します。これは「画面上で何ピクセル以上動かしたときにドラッグとして認識するか」という値です。この値を大きな数字にすれば、よほど高解像度のモニターを使用しない限りは実質ドラッグそのものを無効化したも同然となります。

何があっても絶対にドラッグしたくない人は”Object drag threshold”を最大値の9000まで大きくすることで心の平穏を保つことができます。(ついでに ”Control point drag threshold”も最大値の100にすればより安心です。 )

マウスドラッグ無効化の設定画面



使わない時はガムボールを非表示にする

数値入力による正確な移動・回転・拡大を容易にしてくれる便利なガムボール機能ですが、時には牙をむくことがあります。ガムボールの表示をオンにしておくとオブジェクトの選択時にガムボールが出現しますが、その際にガムボールの腕のどこかに誤って触ってしまうとオブジェクトを微かに移動・回転・拡大してしまう危険性があります。

不本意にガムボールを触ってしまう様子

これを防ぐための対策はズバリ、「使わない時はガムボールの表示をオフにし、必要な時だけオンにする」です。



IsolateやInvert+Lockを活用する

画面上に多くのオブジェクトが存在すると、それだけで不本意なオブジェクト移動の危険性は高くなります。

そのような場合は、作業対象以外のオブジェクトを一時的に非表示または編集不可能にすることで安心して手動モデリング作業を行うことができます。前者は”Isolate“、後者は”Lock“のコマンドがそれぞれ対応します。(“Lock”コマンド実行前に”Invert”コマンドで選択対象を反転させる必要があります。)

なお、一時的な作業が終わったらそれぞれ”Unisolate”、”Unlock”コマンドで元の状態に戻すことを忘れないようにする必要があります。

Isolate
InvertしてからのLock



投影モードをオンにする

Top ViewやFront Viewでオブジェクトを動かそうとするとき、奥行きのある空間に対してオブジェクトスナップが効いてしまうがために、意図していない移動をしてしまうことがあります。

それを防ぐために、Top ViewやFront Viewでの作業では投影(Project)モードをオンにしてモデリングを行うようにしています。
この機能がオンの間はオブジェクトの実際の座標にかかわらず、作業平面(CPlane)上に投影された位置にスナップされるようになります。

また、平面図・立面図として3Dモデルから2D方向の寸法を追いたいときにもこの機能は便利です。

投影モードの詳細に関してはAppliCraft様のページが詳しいです。

投影(Project)モードをオンに
Right Viewで投影モードをオンにしてオブジェクトを移動した場合



Tabキーで方向拘束する

ある方向にオブジェクトを真っすぐ正確に移動したいと思っても、人間のマウス操作では不可能です。

そのような操作が必要となった場面では、TABキーによる方向拘束モードが有効です。
まずオブジェクト移動の始点をクリックし、次に方向を示すための参照点にカーソルをスナップさせます。その時にTABキーを1回押すことで始点と参照点を結んだ直線上に方向が拘束され、方向にブレのない移動が可能となります。
移動量の数値入力も可能なので非常に便利な機能です。

オブジェクトの移動のみならず、Lineコマンドによる線分の描画など、方向入力が必要となる他のRhinoコマンドにも同様に有効です。
なお、TABキーを1回押すごとに方向拘束→距離拘束→解除と切り替わります。

TABキーによる方向拘束



おわりに

モデリングの正確性とクライアントからの信頼度は比例します。

上記で挙げた手法は基本的な操作のように思えますが、日頃からこれらを習慣化しチーム内で共通化することで、手動モデリングミスを未然に防止するよう努めています。

daichi.masuda

ファサードチームのひとり。ジオメトリエンジニアを志しシンテグレートの門を叩く。

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