BIM用語の日本語訳
海外で使われている英語のBIM用語のうち、まだ日本語で定まった訳がないものがいくつかあります。この記事ではいくつかの参考文献を比較・対照し、シンテグレートで使用する訳を理由を含めて書いています。随時修正・追記の予定です。
BIM Requirements: BIM要求水準(書)
- EIR(Employer’s Information Requirements): 発注者情報要件 は定訳となっているが、こちらにはない
- 国土交通省など、行政の文書で使用されている「BIM要求水準(書)」を採用
- EIRの訳と合わせ「BIM要件」とすることも可能か
Preliminary BEP: 準備BEP
- 日本語での訳が見当たらず
- Preliminaryは「予備的な、準備の」の意味 https://ejje.weblio.jp/content/preliminary
- 語意から「準備」と訳した
- 「予備」は日本語ではバックアップの意味が強いと考えた
MPS (Model Progression Specification): モデル詳細度表
- 同様の表を指す語としてModel Element Table(GSA, 米国連邦調達庁など)もある
- LOD表(日本科学技術連盟)、モデルエレメントテーブル(JCITC、他多数)などの日本語訳あり
- 各モデル要素ごとのLOD(=詳細度)が設計・施工の段階別に表になったものであることから、日本語でのわかりやすさを考慮し「モデル詳細度表」と意訳
CDE(Common Data Environment)
- 共通データ環境(https://www.jacic.or.jp/movie/jseminar/pdf/movie20161013_morita.pdf)の訳語あり
- 日本語文献でもCDEの略称を使っているものが多いため、このままとした
Central Model: セントラルモデル
- Autodeskでは「中央モデル」の記述多数 https://knowledge.autodesk.com/ja/support/revit-products/learn-explore/caas/CloudHelp/cloudhelp/2018/JPN/Revit-Server/files/GUID-8E49BC46-5052-4DBF-8837-D57B8F8899F5-htm.html
- 以下の「コーディネーションモデル」等と合わせて、Revit・Navisworks等で使われる用語は英語のままカタカナで記述した
Coordination Model: コーディネーションモデル
- Autodeskでは「コーディネーションモデル」を使用 https://knowledge.autodesk.com/ja/support/revit-products/learn-explore/caas/CloudHelp/cloudhelp/2018/JPN/Revit-Collaborate/files/GUID-A5B877B0-F587-43F1-94C8-550CBBCB8A90-htm.html
Clash Detection: 干渉チェック
- 直訳すると「衝突検出」か
- 日本語では「干渉チェック」と訳すのが一般的と思われる
Hard Clash: ハード干渉 Soft Clash: ソフト干渉
- 「干渉チェック」と合わせ、Clashの訳語に「干渉」を使用
- cf. 建築・BIMの教科書 p114
参考:
- 建築・BIMの教科書 (BIM教育研究会、2020)
- BIMのかたち Society5.0へつながる建築知(日本建築学会、2019)
- BIM その進化と活用 建築を目指す人、BIMに取り組む人のガイドブック( 公益財団法人 日本建設情報技術センター(JCITC)『BIM その進化と活用』編集委員会、2016)
- 英国のBIMを利用する建設プロジェクトの情報マネジメント仕様書(一般財団法人日本建設情報総合センター(JACIC)、2016)
- 官庁営繕事業におけるBIM モデルの作成及び利用に関するガイドライン(国土交通省官庁営繕部、2018)
- Autodesk Revit サポートページ
協力: hiroo.maruyama