入力データに基づいた繰り返し処理:Rhino+Grasshopperを用いて

Rhino+Grasshopperを使用するとき、同じ作業を繰り返さなくてはならないことあります。

繰り返し作業が10回以下ならばGrasshopperの手動クリックでもいいでしょうが、20回を超えたり、1回の処理に10分以上かかる場合は、入力データを元にした半自動の繰り返し処理を作る方が簡単です。

ここでは、入力データに基づいた繰り返し処理の設定方法を説明します。

この繰り返し処理には、Anemoneというアドオンが必要です。

https://www.food4rhino.com/app/anemone

Grasshopperを使う上ではアドオンを活用することが最も重要です。なぜなら、GrasshopperはMcneelグループの認証なしに、誰にでもアドオン作成の扉を開いているからです。

Anemoneを一言でいうと、「LOOP」になるでしょう。

GrasshoppperのAnemoneタブ

基本的にアネモネでは、特定の範囲(開始から終了まで)をループするように設定し、そのループしたサイクルを必要な条件に合うまで繰り返していきます。

繰り返し作業の簡単な例を見てみましょう。この例では、Rhinoの別ファイルで平面図を元にジオメトリを作成しています。

理想的なBIMの考え方からすると、3Dモデルを事前に作成しておき、それを元に2Dの図面を作成することになります。ただ実務の場合は、この例のように、2D図面(平面図、立面図)を元に3Dモデルを作成してほしいという要望が出ることが多いです。

入力データ: 立面図
入力データ: 平面図
この場合は別々のRhinoファイルに保存されたフロアごとの外形線(Attributeに高さ情報が含まれている)
Anemoneのループの例

Grasshopperはビジュアルコーディングではありますが、コメントが書かれていないと理解しにくいものになります。書き加えると以下のようになります。

ループの例にコメントを加えたもの

ご覧のようにINPUT DATAの部分には、繰り返しデータを挿入しています。

そのすぐ下の”COUNT QUANTITY OF INPUT DATA”では、繰り返しが必要なデータの数をカウントし、それを元に微調整をしています。

COUNT QUANTITY OF INPUT DATA

Grasshopperではリストの先頭が “1 “ではなく “0 “になっているので、長さの抽出が必要です。

grasshopper list の番号付け; “1”ではなく “0” から始まる

以下ではアネモネの作業手順を示しています。

  1. 入力データを読み込む
  2. 入力データに基づいて、何回繰り返したかをカウント
  3. ループ開始条件、ループ終了条件、COUNTING PARAMETERを設定
  4. COUNTING PARAMETER が最後の COUNTING 番号に合うまでループ処理をする
LOOP PROCESS part of Example of Anemone loop cycle

このLOOP PROCESSでは、INPUT DATAだけが変化します。そのため、file#1を挿入して、次にfile#2を挿入して、最終的にfile#5を挿入していると考えることができるでしょう。

出力データ: 各フロアの建物のボリューム
平面図ごとに異なるファイルで保存されている

このLOOP PROCESSの代わりを使わなくても、同じ結果になるのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、サイズの異なるデータのエクスポートやデータ構造の変更などの作業を、Grasshopperの一度の作業で並行して行うことは簡単ではありません。

そのために「繰り返し」が必要になります。同じロジック/コードの繰り返しの結果を、別々のデータに保存することができるのです。

もちろんAnemoneを注意深く使えば、この「繰り返し」を「進化的」な方法にすることもできます。それが次回の記事のテーマになるでしょう。

Munchel Kim

主にGrasshopperを用いてファサードプロジェクトを担当。BIMソフトウェア(Rhino-Grasshopper, Revit, 3DX)とプログラム(VBA, python)の連携により、(半)自動的なパラメトリックモデリングを実プロジェクトで実現することに興味があります。

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