本当にクオリティの高い建築のヴィジュアルはどうやってできるか(添景入れ編)
さてみなさん、建築のパースに添景を入れていますか?結構大変ですよね?
絵の雰囲気や色味が固まり、
「さて、添景作業だ!どんどん入れてくぞー!!」
というタイミングになった時、自分がイメージしている添景が中々発見できなくひたすら検索し続けているといつの間にか陽が暮れている経験をした方も少なくないかと思います(私もそのうちの一人でした)。
このパースもかなりの量の添景が入っていますが、データを正しく管理していないとデータを探す時間だけで途方に暮れてしまいます。私も当時このパースに添景を入れていた時結構苦労した記憶があります。
そんな無駄な時間を少しでも削るために、今回の記事では添景を入れ込むノウハウをご紹介したいと思います。
ラフスケッチを描いて最終イメージを固める
実際に添景をパース上に入れる前にラフスケッチを描き、どのような添景を入れていくかイメージしていきます。
弊社松谷の記事(本当にクオリティの高い建築のヴィジュアルはどうやってできるか(表現編①))でも書きましたが、建築のコンセプトを最大限表現する為には最終イメージをいつでも念頭に置きながら制作する事がとても大事です。
その為には上記のようなラフスケッチがとても有効です。ヴィックでは絵を描き始める前にラフスケッチを描く事を習慣化しています。
スケッチを描く事で添景の配置・物量の想定・どのようなアクティビティを入れるか等、最終形の隅々までイメージする事ができます。スケール感を持って実際にスケッチを描いてみると頭の中でイメージしている以上に添景の量が必要だったり要らなかったりします。ゴール迄のおおよその作業時間を想定する事ができるので正しいスケジューリングをする事も可能です。
また、ラフスケッチとリファレンスイメージをクライアントに渡して最終ゴールを共有する事でお互いのイメージの齟齬を無くす事にも役立つので大変良い事づくめです。
ファイルブラウザを最大限活用する
さて、ラフスケッチを描き終わって実際に添景を入れる作業に入っていきます。
世の中にはエクスプローラーのようなファイルブラウザが多く出回っていますが、ヴィックでは添景を探す際に”Adobe Bridge“と”Connecter“というソフトを使用しています。この二つは2Dデータ・3Dデータのプレビューや検索に特化したアセット管理ソフトです。
Adobe Bridgeはもしかしたら使用している方も多いかもしれません。今回は弊社堀尾の記事(建築CGパースのレタッチ効率化あれこれ#1-左手デバイスTourBox、アクション、connecter)にてちらっとご紹介した”Connecter“というソフトウェアについてご紹介します。
Adobe Bridgeに比べConnecterは
- 3DモデルやPBRマテリアル等の多くのデータに対応したプレビュー機能
- 充実したフィルター、タグ付け、検索機能
- 共有ワークスペースによるチーム運用
に特化したファイルブラウザソフトです。Adobe Bridgeでは3Dモデルのプレビューができないので大変助かります。
また、それぞれのアセットデータにタグ付けを行う事で添景の検索時間の短縮を図ります(タグ付け作業は仕事が空いている時にちまちま行っています)。
人の添景のタグ付けはこのようになっています。
例えば先ほど挙げたパースに人を入れるとして、このようにタグを選択していきます。
「正面」「横」「背中」「歩く」「立つ」「日本人」というタグを選択しました。
すると選択されたタグに沿ったアセットがフィルタリングされ表示されます。便利ですよね。同様に3DモデルやPBRマテリアルにもタグ付けを割り当てる事ができます。便利ですよね(2回目)。
ヴィックではこのようにタグ付けを行ってライブラリ整理する事で検索時間を短縮し、予めイメージしていたアウトプットを直ぐに出せるように努めています。
おわりに
今回ご紹介した内容はパース制作全体のワークフローの中ほんの一部分です。制作には必ず納期がつきまとってくるので、数少ない時間を使いながら質の高いイメージを制作する為には時間管理が絶対です。このような細かいノウハウを蓄積する事で5分、30分、1時間と時間を短縮でき、効率的により良いイメージを制作できる事に繋がのではないでしょうか。