クラッシュボール: Navisworksでの干渉チェックをRevitで確認する方法
最も使われているBIMソフトウェアは何でしょうか?
もちろんいろいろなものがありますが、私はAutodesk Revitを使って働いています。今回は興味深いことをシェアしたいと思います。
BIMコンサルティングの仕事の最中に、RevitとNavisworksの間で起こる問題があります。それは、Revitのオペレーター・マネジャーがNavisworksを使えない場合に起きます。彼らが干渉の解消をしようとしても、正確な干渉の位置がRevitの干渉レポートだけではわからないのです。
この問題を解決するには、「クラッシュボール」がおすすめです。これで干渉の位置をRevitで直接知ることができるようになります。私はこの記事で、Navisworksの干渉チェックの結果を、Dynamoを使ってRevitにインサートする方法をお伝えしたいと思います。Revitで干渉の位置を見られるだけでなく、Revitのパラメータを使うことで干渉の状態も管理できるようになります。これはBIM環境で情報を使うためのテクニックです。
以下にこの記事で使うソフトのバージョンを示します。
- Revit version 2019 (図1,2がサンプルモデルです)
- Navisworks 2019
- Dynamo 1.3.4
- Excel (Office 365)
Revitのモデリング(Revitのサンプルプロジェクトを使用)、ファイル変換(RevitからNavisworksへの変換)、干渉チェックのプロセスについての解説は省きます。
以下のような手順で進めていきましょう。
- Navisworksの干渉チェックデータをXMLファイルとしてエクスポート
- XMLをExcel形式に変換
- Dynamoスクリプトを設定
- Dynamoを使ってRevitモデルにクラッシュボールを挿入
- Revitでクラッシュボールを確認
Navisworks での干渉データのエクスポート
図3にあるように、建築のサンプルモデルと設備のサンプルモデルとの間に1,256個の干渉が見つかりました。
レポートタブに移動し、図4のように「コンテンツ」、「次のステータスを含める」にチェックを入れます。
この記事では、新規・アクティブの干渉のみを使用します(クライアントの要求や状況に応じて、他のオプションを設定します)。「レポートを作成」をクリックし、XMLファイルをデスクトップに保存します。
Excel形式に変換
私が用意した変換用エクセルファイルを使用して、書き出したXMLファイル(Clashデータ)をエクセルファイルに変換してみました。
以下のGIFのように、エクセルファイルでCellA:2を右クリック→XML上で移動→インポート→NavisworksからエクスポートしたXMLファイルを選択します。
データをインポートした後は、Excelファイルとしてデスクトップに保存します。
※書き出したXMLファイルをただ開いただけだと、整理されていない、わかりづらい状態になってしまいます(図6参照)
Dynamoスクリプトの設定
プロジェクトにクラッシュボールを挿入する前に、Dynamoスクリプトを作ります。
以下はスクリプトのグループの一つです。
Revitモデルの正しい位置にクラッシュボールを挿入するには、何をすればいいのでしょうか?ご想像の通り、データが入っているExcelファイルをインプットし、さらにDynamoに読み込ませるべきシートを割り当てる必要があります。
スクリプトには、上の「Read from Excel」以外に、以下のような8つのグループがあります。
- 干渉のXYZ座標を抽出・そのデータのみを再配置
- メートル単位をミリ単位に変換
- プロジェクトの北と真北がある場合は、角度差を計算
- クラッシュボールを挿入
- クラッシュボールのパラメータに他のデータを挿入
Dynamoを使用したクラッシュボールの挿入
クラッシュボールを挿入する前に、そのファミリをRevitモデルに読み込ませる必要があります。
以下がクラッシュボールのファミリです。ボールの直径、材質、色、視認性のオン/オフなどのパラメータを設定しています。これらのパラメータは、Revitのデータを共有して仕事をしているチームには使い勝手のいいものになるでしょう。
全ての設定が完了したら、Revitモデルにクラッシュボールを挿入します。やることはファイルの選択と実行だけです。
Revitでクラッシュボールを確認する
ここでは照明器具と天井の干渉の一例を紹介します。普通、Navisworksで干渉チェックを行う際には、多くのユーザーはこのような類の衝突を無視するようにルールを設定しています。
見てわかる通り、クラッシュボールを使うと、干渉が発生している場所をRevit内で簡単に見つけることができます。パラメータには干渉チェック日、干渉番号、グリッド位置が入力されています。「新規/レビュー中/承認済み/解決済み」のパラメータを使用してステータスを管理したり、RevitのワークシェアリングシステムでBIMオペレータやマネージャに干渉の存在を伝えたり、それを解消する役目を割り当てたりすることができるのも、この方法のいいところです。
衝突が解消、または承認された場合、Ball Turnパラメータを切り替えてクラッシュボールを見えないようにすることができます。この記事が、プロジェクト内での干渉を管理する助けになることを願っています。
このクラッシュボールの方法は、普通にRevitやNavisworksを使うときや、より緻密な干渉チェックをするときに、BIM360を使わないローカルサーバーで使うのが便利だと思います。
もちろんBIM360にある、Webベースの「Model Coodination」機能を使用した場合にも、干渉チェックと指摘事項で同じような効果が期待できるかもしれません。現在、アップデートされたBIM360を使って研究中です。
より詳しい情報を知りたい方、使用したクラッシュボールファミリ、Dynamoスクリプトが欲しい方は、こちらまでご連絡ください。
翻訳: kantaro.makanae