BIM実務の必須用語集

派手なBIMの話題を書こうかと思っていたら、ブログの編集長がこんなトピックを持ってきました。BIM実行計画の中にもちょうど似たような、用語説明をする章がありますよね。

このブログで今後のBIM記事を理解しやすくするためにも、BIM実務で必須の用語をいくつか知っておくと便利です。今回は主にAutodesk RevitとBIM 360を使用するときのBIM実務の用語をピックアップしてみました。

BIM (Building Information Modeling)

すでにご存じだとは思いますが、一番簡単なものから始めてみましょう。BIMとは、Building Information Modellingの略です。簡単に言うと、要素に情報が埋め込まれた3Dジオメトリのことです。これによって設計をすすめ、それを可視化することができ、部品の属性を見ることができます。この情報から、設計の確認、解析、エンジニアリング、多くの分野にまたがる調整、2D図面の作成、データ出力などなど、プロジェクト全体にわたって様々な活用が可能になります。

BIM要求水準(BIM Requirements)

BIM要求水準(書)は、プロジェクトで 必要なBIMに関する要件を示すものです。この文書は、事業主や建築主が、設計者/請負業者を雇うために作成するRFP(Request for Proposal: 提案要項)の一部です。

私が以前関わった建設入札プロジェクトでは、このBIM要求水準が様々な形で文書化されていました。その中には、事業主がBIM要求水準としてBIM基準(BIM Standards)を取り決め、請負業者がそれを遵守しなければならないというものもありました。他のプロジェクトでは、BIM要求水準にEIR(Employer Information Requirements: 発注者情報要件)が含まれていることもありました。他のプロジェクトと共通する一般的な文書である場合も、プロジェクト固有の文書である場合もあります。

いずれにせよ、BIM要求水準の中では、BIM 技術要件、BIM 管理要件、BIM 設備、BIM 成果物などが定義されています。適切なBIM提案書を作成するためには、BIM要求水準を理解し、曖昧な部分をなるべく明確にすることが不可欠です。

私たちは日本の設計者や施工者とも仕事をしていますが、日本ではプロジェクトの遂行に必要なものとして(訳注: 建築主から必ずしも要求されることなしに)BIMを利用していることが多くあります。そのような場合には、設計者や施工者自身がプロジェクトのBIM目標とスコープをBIM要求水準として設定し、BEPを作成します。

BEP (BIM Execution Plan: BIM実行計画)

BEPは、プロジェクトのためにBIMがどのように実行されるかを説明するものです。したがって、これはプロジェクト毎に違ったものになります。クライアントから与えられたBIM要求水準をもとにしてBEPは作成されます。つまり、BIM要求水準をよく理解していることが適切なBEP作成には不可欠です。ふつうは以下のような2つの段階を踏んでBEPが作られます。

準備BEP(Preliminary BEP)

準備BEP は暫定的なBEPのことで、BIM要求水準をもとに部分的に決めた事項を、大まかに説明するものです。(建築主の要求によっては、)設計者/請負業者が技術提案の一部として、準備BEPの提出を求められる場合があります。その場合、業務の受注後にBEPを完成させることになります。

BEP/詳細BEP

BEPは準備BEPを元に作られた、より詳細な文書です。そのため、ただ”BEP”とも、”完全BEP”(Full BEP)とも、”詳細BEP”(Detailed BEP)とも呼ばれます(プロジェクトチームの中で名前を決めます)。BEPはプロジェクトが始まる一定の期間内であれば、BIM要求水準書に従って更新することができます。そしてBEPはプロジェクトの終了時に、BIMモデルと成果物がどうやって作られたかを記録するものになります。

BEPのサンプル等が以下のリンクにあるので、興味があれば見てみて下さい。

BIM実行計画書(日本建築学会、2016)

BIM PROJECT EXECUTION PLAN VERSION 2.0 ( The buildingSMART alliance)

BIM Project Execution Planning Guide – Version 2.2

LOD (Level of Development / Detail)

BIMモデルは3次元形状に加えて、設計段階で追加された情報が組み込まれたものです。基本計画や基本設計の段階では、シンプルな3Dの形と少ない情報で構成されていますが、実施設計の段階では、これらがさらに作りこまれていきます。LODは、このように各段階で異なる様々な建築要素の情報のレベルを定義するものです。LOD 100は最も単純な情報で、LOD 400までで徐々に情報量が増加していきます。LOD 500は施設管理アプリケーションでBIMを使用するために最適化されたバージョンです。

LODの例: 鉄骨の柱
Source: Level of Development Specification Part 1, 2020, BIM Forum

LOD 350は他の建築要素との境目に関するものです。他の多くの部分がLOD 300にある時に、いくつかの建築要素をLOD350に指定することができます。例えば、設計者が構造部材同士の接合部を、細部に至るまで美しく設計しようとしたとしましょう。その場合は接合部とそれに関連する要素をLOD 350まで作りこむことになります。

典型的なLODとプロジェクトの流れ

私たちはアメリカのBIMフォーラムが発行している「Level of Development Specification(LOD仕様書)」を参考にすることが多いです。これは世界的にも広く参照されており、最新版は2020年12月で、無料でダウンロードできます。ぜひチェックしてみてください。

https://bimforum.org/lod/

MPS (Model Progression Specification, モデル詳細度表)

MPSは建築部材の内訳の表で、工事範囲に応じて、各設計・施工段階で必要とされる部材のLODを定義したものです。私たちは(先ほどの設計者の例のような)プロジェクトの要件に合わせて、MPSとLODをカスタマイズしています。部分的なサンプルは以下のようになっています。

MPSの例

CDE (Common Data Environment )

CDEは、BIMモデルとすべてのプロジェクトにかかわる文書を保存し、プロジェクトメンバーがモデルやデータにアクセスして共同作業を行うための環境で、「作業プロセスとしてのBIM」の核となる設備です。CDEには、クラウドベースのサーバーで運用されるものと、オンプレミス(自社運用)のサーバーで運用されるものがあります。

私たちの最近完了したプロジェクトは、クラウドベースのCDEであるBIM 360で行われました。COVID-19の感染拡大でリモートでの作業を余儀なくされていたので、チーム全体にとって非常に有効な手段となりました。
私たちはプロジェクトが始まるときに、まずフォルダ構造を決め、BEPで取り決めた「共同作業とコミュニケーションの計画」に沿って各メンバーにアクセス権限を割り当てました。
「共同作業とコミュニケーションの計画」では、以下のことを決めました。

  • 情報交換のプロセス(チーム内で特殊なソフトウェアを使用していたため)
  • モデルの公開とパッケージ
  • 調整モデルと衝突検出
  • 通信プロトコル

BIM オーサリング

BIMモデリングはBIMオーサリングの一部に過ぎません。BIMオーサリングにはより広範囲の処理作業が含まれています。例えばモデルごとの属性の入力や統合、設計情報(2D図面、スケジュール、データ)の抽出などです。これらはRevitやArchiCADなどのBIMソフトウェアのツールでできることです。

BIMオーサリング

以下の引用も読んでみてください。

“BIMオーサリング

建築の構成要素をオブジェクトとして、集積・統合し、その一部あるいは全体をBIMモデルとして構築し編集する作業。BIMモデルを基盤に新たな情報を加えたり、新たな価値を制作する行為全般。BIMモデルから各局面で必要とされる図面などのドキュメントを取り出したり作成することも含む。”

BIMのかたち Society5.0へつながる建築知, 日本建築学会 p220

セントラルモデル(中央モデル)

セントラルモデルとは、Revit サーバや BIM360 に保存されている Revit ソフトウェアの用語です。ローカルモデルはセントラルモデルに同期されていなくてはいけません。各工事/設計区分での修正点や課題はこのモデルに記述されています。各工事/設計区分のフォルダに保存され、その中でのみアクセス可能です。

パッケージ

BIMコラボレーションプラットフォーム内の専用フォルダで、セントラルモデルを共有することです。このプロセスの中で、各区分のリーダーによる設計検証とモデルのQA/QC(品質保証・品質管理)がなされます。

マスターモデル

マスターモデルは、パッケージ化されたすべての区分のセントラルモデルをつないでいるモデルです。他区分への修正点や課題はこのモデルに記述されています。マスターモデルは、設計レビューや全体の進捗状況の確認などに利用することができます。

コーディネーションモデル

Navisworksを使用して干渉チェックを行う場合、セントラルモデルを連携させたコーディネーションモデルを用意し、ルールを設定して行います。調整モデルには、シーン環境、保存されたビュー、衝突検出結果、コメントや書き込みを含むお気に入りビューを保存することができます。

干渉チェック

干渉チェックは、BIMプロセスにおける空間的な調整作業のうち最も重要なものです。単一区分のモデル内での干渉と、干渉マトリックスで設定された複数の区分にまたがるモデル同士の干渉を見分けることができます。

ハード干渉

同一空間内に複数の物体がある(=ハード干渉が起きている)ときには、自動で検出することができます。

ソフト干渉

ソフト干渉とは、安全性、メンテナンス、アクセス性、設置性、またはその他の理由で、一定の空間的/幾何学的許容差や、ほかの物体との一定のクリアランスを必要とする物を指します。

BIM 次元 (4D BIM, 5D BIM など)

BIMモデルの基本は情報が埋め込まれている3次元モデルですが、設計の調整を行ったり、より詳細な設計情報を作成することで、BIMモデルの利用範囲を広げる(=BIMの使用される次元を広げる)ことができます。BIM次元の代表的な定義は以下の表のようになります。

よくあるBIM次元の表

私の経験上、BIM次元の定義はクライアントによって違っていることがあります。特に5DBIM以上の場合は異なる場合が多いです。そのため、”XD”のBIMが必要な場合は、BIM要求水準書で明確に定義しておくことをお勧めします。 関連する記事を以下に貼っておきます。https://www.designingbuildings.co.uk/wiki/BIM_dimensions

IFC (Industry Foundation Class)

IFCは、異なるソフトウェア間の情報交換を可能にするためのファイル形式です。この形式はbuildingSMARTによって開発・維持されています。多くのBIMソフトウェアで、IFC形式のインポートとエクスポートができるようになっています。

building SMART

buildingSMARTはBIMに関する国際的な権威をもった組織です。BIM規格の作成と開発、BIMコンプライアンス、アワード、国際的なBIMイベントの開催などを行っています。

Https://www.buildingsmart.org/about/who-we-are/

COBie (Construction into Operation of Building information exchange)

COBieは、設備管理用のデータを管理するための、スプレッドシート形式のデータベースです(グラフィカルなデータではありません)。通常、機器リストやデータシート、スペアパーツ、保証書、メンテナンススケジュールなどを含むものです。

Example of COBie spreadsheet

より詳しく知りたい場合は、以下のリンクをご覧ください。

https://www.thenbs.com/knowledge/what-is-cobie

翻訳: kantaro.makanae

charlie.yoon

テクニカルディレクターとして、主にBIM関連業務を担当。 英国の設計事務所、中東の施工会社とプロジェクトマネジメント会社を経て、2020年にシンテグレートに入社。 国際的な経験を活かしつつ、かつ新参者として日本でのやり方を試しながら、「作業プロセスとしてのBIM」について書いていきます。

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